「他にこの日、この時間に思い当たる節がある奴はいるか?」


でもすぐに聞こえてきた彼の声に、再び頬が強張った。

どことなく身体に力が入って、机の下で拳を握ってしまう。


みんなの答えは“ノー”だった。

日下さんが「今のところは思い浮かばない」と付け加えてくれたけど、それが優しさなのは彼女の声でわかる。


だから大庭君の私を見る瞳が厳しくなったのもしかたがない。



言われなくてもわかる。


今、一番疑わしいのは私。