「弥八子、だいじょぶ? 顔真っ青だよ?」


いつの間にか日下さんが横にいて、思わずびっくりしてしまう。

霧崎君の言葉を聞いて様子を見に来てくれたのだろうか。

「うん、大丈夫……でも……あのね」

「ん? どうした?」


日下さんの心配してくれる瞳は、なんだか嬉しかった。

少し気持ちが楽になって、ひとつ深呼吸をする。



「今日……誕生日なんだ、私」


恐る恐る伝えた私の言葉に真っ先に反応したのは青野君だった。

勢いよく立ち上がり、座っていた椅子が派手な音を立てる。

「乾、本当か」

教壇に立ったままの大庭君が静かに聞いてくる。

私が頷くと、教室の空気が一変した。