「夢だと思いたいー……ついでにこの間のこともー……」
険悪な雰囲気に割って入るように、日下さんが呟いた。
机にぐったり上半身を乗せて、突っ伏している。
その手に握られた携帯電話のストラップが揺れて、小さな音をたてた。
でもそれもすぐ青野君の唸り声にかき消されてしまう。
「お前らも、だ。現状を打破する気力がないのか」
大庭君はみんなの態度にうんざりだとでも言いたげに肩を下げ、ひとりまた歩きながら教室のあちこちを見ながら歩き出した。
私は何も言われなかったのだけれど、頼りにしてないってことだろうか。