「弥八子!? ちょっと大庭! あんたがあんな風に言うから!」


日下さんは泣いている理由がさっきの大庭君にあると思ったらしい。

立ち上がって大庭君に詰め寄って行ったのがわかる。



でも、それは違うから。


彼を責めるのは間違っているから。



私も脚に力を入れて、立ち上がる。


 

「違うの、ちょっとパニックになっちゃって……大丈夫だから、ごめんね」



震えないように、平気なように。

頑張って日下さんのように笑顔を作ってみる。


私のは、作り笑顔だけれど。