「弥八子、気にしちゃダメだよ? あたしたちだって気づかなかったんだし」

「え、あ、うん。大丈夫」

「でもあるってだけでちょっと安心したかも。お守りみたいな感じ?」


そう言って小首を傾げて笑ってくれる日下さんの優しさが嬉しかった。


キャラクターやビーズのストラップをたくさんつけた携帯が目の前で揺れる中、何もしていない白い携帯を私はスカートのポケットへと押し込む。


 


鼓動が速いのは大庭君に怪しまれたからじゃない。

霧崎君がその場の間に入ってくれたからじゃない。




「せめて繋がってればなー、どうにかなったかもしれないのに」


日下さんの無邪気な声が痛い。