私が慌てて言うと、彼も素早くそれを拾って渡してくれた。

急いで日下さんの横にしゃがんで、ビニール袋を持たせる。


過呼吸、本当は過換気症候群と言うらしいけれど、あれは苦しい。

私も何度かなったことがあるからわかる。


多分この状況に耐えられなくなって、発症してしまったんだろう。


 


しばらくすると、日下さんの呼吸が落ち着きだした。


様子を窺って黙っていた3人も安心したようで、青野君が「ごめんな」と彼女に向って言う。

きっと彼なりに起因があったと思っているのかもしれない。


彼が悪いわけじゃない。

教室に閉じ込められ、時間が繰り返すと告げられ、限界値を超えてしまっただけ。