「日下さん?」 涙目の彼女が、過呼吸だと気づいた。 ひぃひぃという呼吸音が喉の奥から聞こえてくる。 立ち上がって周りを見渡して、袋状のものを探したけれど何も見当たらない。 鞄も何もないのだ。 「どうした?」 大庭君が眉を寄せてやってくると同時に、彼の背後にビニール袋が落ちていることに気がついた。 「大庭君、その袋ちょうだい!」 「袋?」 「後ろの! それ!」