「ご……ごめんなさい」

耐えきれず謝罪の言葉を口にすると、みんなから一気に笑い声が零れた。

そっと離される手に、名残惜しさを感じながらも腕を下げる。


「自ら謝るということは、認めたわけだな」

「もー、隠さなくてもいいのにー」

「乾、お前もうちっと素直になっていいと思うぞ」


さっきまでの空気ががらっと入れ替わったように、明るい。


そうか、彼らは確かに素直なんだ。

いつまでも気持ちをずるずると引きずらない。


それがわかったとき、霧崎君と目が合って、彼は笑って頷いてくれた。



「しかし携帯が鳴ったということは、電話に出ろということか?」

ひとしきり場が落ち着いたところで、大庭君が考え出す。

でも電話に出ろと言われても、もう鳴っていないし、さっきはワンコールで切れてしまった為に、またかかってきても余程反応が良くなければ出られない。