なのに。


『お前だって何も出来ないだろう!!』


突如頭に響いた声。

ずきんと痛みが走る右脚。


そうだ、私はあのとき確かに屋上から足を踏み出し、落下して地面に叩きつけられた。

この状況を霧崎君は“やり直し”の機会だと言ってくれた。

だけど。



本当に、そんなことがありえるの――?



身体を鈍い痛みが襲い出す、それは全身を包んでゆく。

この閉じ込められた教室から出れたとして、私は生きているの?

これは私が死ぬ直前に見ている夢ではないの?



ぞわり、と身体の中を何かが這う。

『やり直せないからこうなったんだろうが!』

頭の中にがんがんと響くのは、兄の声。

蘇る、昨夜の記憶。

壁に叩きつけられ、倒れたところへ兄の足が容赦なく向かってくる。


……もし、生きていたら。


また、繰り返されたりするのだろうか――