音。


彼女に言われて初めて気がつく。


そういえば放課後とはいえいつもなら隣の教室や廊下に残っておしゃべりを楽しむひとたちもいる時間だ。

けれどもそういった喧騒(けんそう)はおろか、外から部活動の音すらしてこない。



「弥八子も変だと思う?」


その問いに頷いたとき、大庭君が「何がだ」と割って入ってきた。

突然でびっくりしたものの、日下さんが同じことを繰り返し説明してくれる。



ふと、霧崎君に目をやると今度は彼の視点が上に向かっていることに気がついた。

あの先にあるのは、時計。