仲の良い友達以外にはかしこまったり素っ気なくなったりする人は多い。

だけど確かに、彼らはわけ隔てなく接している気がする。


いやもしかしたら微妙な違いはあるのかもしれない、完全なものなんてない。


それでも、私には他の人と大差ないように声をかけてくれていた。



「乾、お前もな」


それがすごくありがたいことなのだと、噛み締めていた私に霧崎君は言う。

びっくりして再び彼に顔を向ける。

思わず合ってしまった視線の先には、とても優しい色が広がっていた。



「お前だって、誰にだって丁寧に話していた。ちょっとおどおどしててもな、みんなにそうだった」


そう加えた彼の顔は。


今までになく、柔らかく笑っていた。



「だからあいつらが乾を助けたわけじゃない。俺も含め、みんなが互いを助け合ったんだ……そう思うのは、変か?」