「さっき、大庭が“生まれ変わってこい”って言っただろ」

答えられない私に、声のトーンを少し和らげた言葉たちが向かってくる。


「やり直しの機会なんじゃないのか?」

「……やり、なおし?」


考えてもみない言葉だった。

“やり直し”だなんて、そんなものはきかないのが人生だと思っていた。



「みんな、誰かの言葉で自分を見つめ直せた、俺はそう思ってる。そしてそれはこのメンバーだから出来たんじゃないかって」



ふっと、霧崎君の瞳が私の向こうにいる3人へと動いた。

つられて私も首を動かせば、3人はこちらに背を向けていたものの、座って何かを穏やかに話しているように見える。


「あいつらは……誰にだって同じように接することが出来る。優しさも怒りも偏見も。いい意味で素直だと思うんだ」


その言葉が耳に入ったとき、ぶわっと気持ちが膨れ上がった気がした。

同時に思い出す、3人の声。


教室の中で、彼らの声はよく聞こえていた。

大庭君の少し怒りに満ちた声も。

日下さんのみんなと笑う声も。

青野君のちょっとおちゃらけた声も。