「ありがとう」
伝えたくなったのはこの言葉。
「ありがとう」
同じ言葉が返ってくる。
少しだけ沈黙のまま見つめあって。
私はゆっくり立ち上がった。
「でも……どうしてなんだろうね」
ふとそんな疑問を口にしながら。
引き揚げるように支えてくれた霧崎君は一度眉をひそめてから「ああ」と頷いた。
「どうしてこんなことになったか……ってことか?」
「うん、それもあるんだけど……でもね、それはやっぱり私が要因なんだと思う。だからどうして、というよりもごめんなさいと思うの。
そうじゃなくてね、どうしてみんなを巻き込んだんだろう、って」
立ち上がって、今度は少しだけ彼に身体を向ける。
視線は少しずらしているけれど。