不思議に思いつつも、単なる気のせいかもしれない、と首を戻す。

その先に霧崎君がいて、しかもこちらを見ていてちょっとびっくりしてしまった。


目が合った瞬間逸らされてしまったけれど。

偶然目が合って、彼もびっくりして逸らしただけかもしれない。



あまり意識するのもおかしいよね。



再び日下さんが袖を引っ張ったので、私は彼女に意識を戻す。


「どうしたの?」


不安そうな顔を浮かべていた彼女は、打って変わってきょろきょろしつつ、眉をしかめていた。

 
 
「あのさ……まだ5時半なら学校に人たくさんいるよね?」

「え? うん、いると思うよ。だからすぐ誰かが――」

「違うの。いるんだったら、もうちょっと音がしてもいいと思わない?」