「どうやら破れそうにはないみたいだな」
それでも声はきちんと聞こえてくる。
青野君の隣に立って大庭君が手のひらを膜に当てているのが見えた。
押しているのだろうか、動きに合わせて膜がふよんと動く。
「一体何? なんでこんなのが出来るの?」
なんとも言えない半ゼリー状の膜に触ることが躊躇(ためら)われるのか、日下さんは二人よりも一歩後ろで首を傾げている。
あまりにも唐突過ぎて、私も一瞬何が何だかわからなかった。
だけど、近づいてその膜に触れてみて気づく。
ひんやりと冷たい膜。
それはたった今私が考えていたこと。
彼らとの隔たりを想像して、自分の周りを膜が覆っている気がした。
そして勝手に、霧崎君も一緒なんじゃないかと考えた。
――その結果がこれ?