「案外扉開けたら開いたりして」

「んなわけあるかよ……おっ」

「へ!? 開きそうなの?」

「なーんてな、冗談」


最初の頃よりもずっと和やかになった教室に明るい声が響く。

さっきまで、ついさっきまで閉じ込められてみんながどこかかりかりしてたのに。


ふざけあうふたりを大庭君が咳払いひとつで納めたのがわかった。

そしてその直後、背中に彼の視線が突き刺さる。



もしかしたらみんなにも何かあるかもしれないけれど。

やはり一番の原因は私なのだ。


ならばせめて私は彼らに背を向けてはいけないと思った。

霧崎君から視線を外して、ゆっくりと足を動かして。



視界に入ってきたものは。