――そう、いつもの。
どうしてだろう、こんなに温かいのに。
日下さんの言葉も、大庭君の微笑みも、青野君の笑い声も。
憧れていた風景が、目の前にある。
ううん、違う。
憧れていたんじゃない、私が足を踏み入れなかった世界。
いつもその輪の中にだけはいて、一歩外にいた世界。
そしてその世界が、今も遠くに見えてしまう。
ふっと背中に視線を感じて振り返れば、今まで静かだった霧崎君がこちらを見ていた。
そしてその前髪の奥に隠れた瞳に。
少し、共鳴してしまった。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…