――そう、いつもの。



どうしてだろう、こんなに温かいのに。

日下さんの言葉も、大庭君の微笑みも、青野君の笑い声も。

憧れていた風景が、目の前にある。


ううん、違う。

憧れていたんじゃない、私が足を踏み入れなかった世界。


いつもその輪の中にだけはいて、一歩外にいた世界。


そしてその世界が、今も遠くに見えてしまう。





ふっと背中に視線を感じて振り返れば、今まで静かだった霧崎君がこちらを見ていた。

そしてその前髪の奥に隠れた瞳に。





少し、共鳴してしまった。