それに私だけその記憶があって、あのとき目が合った霧崎君に記憶がないというのはやはり希望的観測で、現実ではないと思う。

他のみんなも直前まで何をしていたのか記憶があったのだから。



だったら霧崎君に疑いがかかるより。



私が告白したほうがよほど、いい。



「霧崎君は関係ないよ……私が原因だと思う」

死のうと思っていた。

もう限界だと思っていた。


なら今言ってしまっても構わない。


だって私には地面に激突した記憶があるのだから。

きっとこの教室から出れたとき、私はもういないから。



「5時半ぐらいに……屋上から飛び降りたの」

怖かった、さっきまではその告白はしてはいけないと思っていた。

自分の自殺を告白すれば、原因が問われる。

その原因を私は知られたくなかった。