「それで、やっぱり乾が関係してるんじゃ、と思ったら……霧崎がそのことは言うな、って。情報は取捨選択すべきだって」

そしてこの瞬間、大庭君だけじゃなく日下さんの視線も痛いぐらいに私に向かってきた。


「乾」

大庭君が何か言おうと口を開きかけて、何かを考えているような表情になる。

だけど変わりに「弥八子」という日下さんの声が聞こえた。


顔を声の方向へ向ければ、悲しそうな、不安そうな瞳。


「ねえ、隠さないで言ってよ」


声は消えそうで、弱々しくて。


「弥八子と霧崎は、原因を知ってるの？」


やっぱり、気丈に振る舞っていても、この状況は不安だらけだったのだと再確認してしまう。



原因なんて、知らないと思いたい。

だけど、やっぱりきっと私のせいなんだ。