秒針の音と、心臓の音が重なって頭の中に響く。


「答えられない、ということは当たりか? 何か言ってくれないか」

「……この食糧、霧崎が言うなって口止めしたんだよ」


何も言えない私の代わりに、告白をしてくれたのは青野君。

溜め息をついて、ちょっとだけ振り返りながら、頭をくしゃくしゃにする。


「口止め?」

起きたら食糧があったことに、大庭君と日下さんはどう思ったのだろう。

青野君はなんと説明したのだろう。


わからない、けれど大庭君の表情から青野君は本当の話をしてないのだとわかった。



「……悪いけど、乾、やっぱり黙ってるべきじゃないと思う」

短い髪が、四方八方に毛先を向けている。

ぼそりとそう言われ、私は首を横に振れなかった、もちろん縦にも。



「どういうことだ、青野」

「この段ボール、食糧の話になって、乾が『欲しい』って言った直後に発見したんだ。それまでこんなのなかったのに」

落ち着いた声の説明に、大庭君は眉を寄せる、そして青野君と私を交互に眺める。