「霧崎とはどういう関係だ」


だけど彼の口から次に発せられた言葉が、すぐに理解出来なかった。

聞き間違いかと思い、一拍置いてから大庭君を見つめる。


「霧崎君……と?」

恐る恐る聞いた声は思いの外小さかった。

それでも大庭君の耳にはしっかり届いたらしい、小さく頷かれる。



「ここに閉じ込められてから、少々気になっていた。乾がどもったり何か言われるとさりげなくあいつが出てきてるのでは、と」

背を向けて座っていた青野君が、頭を右手でわしわしと掻いている。


「え……でも私、霧崎君とは……」

「はっきり言わしてもらえば、ふたりはわかってるんじゃないのか?」


今日初めて喋った、という言葉は出て行く前に消されてしまった。


わかってる、その単語がわからない。


何を? 大庭君は何を疑ってるの?