そして、テーブルに――後姿。
「よ、ほら飯食えよ、弥八子」
私の名を呼ぶ声。
振り返る頭。
「…………おにいちゃん」
ご飯茶碗片手に、にかっと笑う。
その笑顔を見たのは、どれぐらいぶりだろうか。
「なんだよ、何朝から泣きそうになってんだ?」
おちょくるような、でも温かみのある声、それを最後に聞いたのはいつだろうか。
「おにいちゃん」
私の口からはそれ以上の言葉が溢れない。
心の中は、たくさんの気持ちが溢れているのに。
夢じゃ、ないよね?
こっちが現実だよね?
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