「なんでオレ教室にいんだっけ? 部活してたのに?」


ジャージ姿の青野(あおの)君が短い髪の頭をがしがしかく。

隣に立っていた日下(くさか)さんも、首を傾げながら

「友達といたのにー」

と言う。

学級委員長の大庭(おおば)君も眼鏡を押し上げながら考え事をしている。


みんな一緒みたい、私もわからない。


 


ただそんな中。

霧崎君だけが、いつもと変わらない表情で机に腰掛けていた。



そういえば。


彼の姿を見て、さっきの記憶が蘇る。

もし見られていたのなら、何か言われるだろうか。


そっと離れたところから窺(うかが)ってみても、私の方は見ようともしない。