ぼやけていた頭が徐々にクリアになってゆく。


いつもと違う?





ううん、今起きたんだからさっきまでが夢?

だって、今よりもさっきまでの方がありえないことだらけだもの。



私は着替えもせぬまま、自分の部屋を出て階段を下りてゆく。


「おお、弥八子、今日は随分と寝坊したな」

降りたところで玄関に向かうお父さんと出会う。

昨夜は帰ってきてたの?

「お父さん先に行くからな。弥八子も遅刻するんじゃないぞ」

そう言いながらお父さんの大きな手のひらが、私の頭をぽんぽんと撫でた。

「いってらっしゃい」そう言うと、お父さんはにっこり笑ってくれる。



そのままリビングへと向かう、朝ご飯は和食なのだろうか、炊き立てのご飯の匂いがする。

「あらせめて着替えてきなさいよ」

おたまを持ってお味噌汁をよそっていたお母さんが、笑う。