「そういやあのときはちょっと不思議にしか思わなかったけど……過呼吸のときも乾が探したら袋があったよな……?」


――教室には、何もなかったはず。


そうだ、そのはず。

身につけているもの、元々教室に設置されているもの以外、この教室にはことごとく物がなかった。


なのに、日下さんの過呼吸のとき私はビニールの袋を見つけ。


食料と水の話になったら、そこには段ボールがあった。



「……お前の意志が、はんえ」

「青野」


鋭い声だった。


その霧崎君のひとことは青野君の疑問を打ち消した。

もっとも表面上だけだと思うけれど。