お茶の銘柄も、オレンジジュースも、鮭おにぎりもよもぎ餡ぱんも他のお菓子も。





全て、私が好きなものだ――



途端、全身を鳥肌がかけめぐった。


チョコレートを握ったまま止まった私を不思議に思ったのか、霧崎君が眉を寄せてこちらを見てくる。

ただ目が合っても、彼は何も言ってこなかった。



「……乾?」


だけども。

私の心に気づいたのは彼だけじゃない。


青野君の揺れる瞳が私を捉えている、きっと。

だからこそ私はそちらを向けない。

「お前……欲しいって言ったよな」


びくり、身体が素直に反応した。