「そうだね、何か欲しいかも」

どれぐらい水を口にしてないのかもわからない。

私はともかく、部活をしていたであろう青野君は水分が必要じゃなかろうか。



だけどどうすればいいのだろう。

そう思いながら近くなった窓に視線を移そうとした途中、茶色い箱が視界の中に飛び込んできた。


「あれ……なんだろう」

と同時に言葉が出る。


私の視線を追ったのか、ふたりも首を動かした。

教室の後ろ、棚の上に段ボールが置かれていた。


「あんなの……あったか?」

「いや、見覚えはない」

ふたりの声は寝ている人に遠慮して小声だったけど、確かに意外そうなものだった。

もちろん私もあんな箱があったなんて記憶にない。


どうしようか、そう思った矢先に霧崎君が静かに立ち上がる。

臆することなく段ボールに向かい、半分閉まっていた中身を窺う。