起きている私たちは起こさないように、とふたりから対角線上に離れた場所に移動する。


「いつになったら出れるんだろうな……」

ここにいないクラスメイトの椅子に座り直したところで、ぽつり青野君が零した。


「ってわかるわけねぇよな」

だけどその一瞬不安そうな顔を見せたのに、すぐにいつもみたいに大きく笑う。

それがなんだか優しくて、私はただ頷くことしか出来なかった。



もうどれぐらい経ったのかがわからない。

そしていつ、どうやったら出れるのかもわからない。


それはきっと私たちが思っている以上に重圧なのだろう。

けれどもみんなそれを感じさせないように、明るく振る舞ったり、気丈に振る舞ったり。



だからこそ、不意に零れた彼の言葉が真っ直ぐで、嫌味も無くて。

直後笑顔を見せた彼が優しくて、嬉しい。