眼鏡の奥の瞳が一瞬私ではなく、私の隣へと動いた。

そこにいるのは立ったままの霧崎君。

そしてまた彼の瞳は私へと戻る。



なんだろう。

ちょっと気になる。





大庭君に聞こうとまでは出来なかったけれど、首を傾げた私から彼の視線が外れた瞬間。



「びっくりした……言えるんだな」


隣から、ぼそっとした声が私に降りかかってきて。

思わず顔を向けたときには彼は自分の席に戻ろうと動いていて。



私の瞳には、真っ白な飛行機雲のラインが、飛びこんできた。