息をゆっくり吐くと、隣から視線を感じた。

霧崎君だと思って首を動かすと、すぐ顔を逸らされてしまう。

だけど一瞬見えたその顔の瞳は、いつもよりちょっと大きく感じた。


 
「取り乱してすまない、それと青野……申し訳ない、これから気をつけるよ」

どうしたんだろう、そう思っていると大庭君の声。

それはもう、いつものような落ち着いたもので。


いつもよりもクリアに聞こえた。



意外だったのか青野君は面食らったみたいだけど、鼻の頭を掻いてちょっと照れながら「すまん」と言う。

併せて日下さんも「こっちこそごめん」とだけ呟いた。



やっぱり、大庭君はすごいと思う。

言葉は悪いけれど、立ち直りが早いというか。


気持ちの切り替えが上手く出来るのかもしれない。