びっくりしたその次の瞬間には。


「お前なっ……いい加減にしろよ!!」

負けないぐらい大きな声をあげた青野君が、大庭君の襟を掴んでいた。

またしても机と椅子がぶつかり、動く音が響く。


まるで映画やドラマのワンシーンのような状況。

それでも私は立ち上がることすら出来なくって。

私の横を、さすがに見かねたのか霧崎君が通り過ぎようとする。



「やめなよ、皐次郎!」

だけどそれよりも早く、ふたりと一緒にいた日下さんが青野君を止めに入った。

もっとも、彼女の声だけでは青野君の手は離れなかったけれども。


「大庭、今のは言い過ぎだよ。悪いけど、あたしも皐次郎と気持ちは一緒」

日下さんは冷静に、はっきりと言い放つ。

その言葉に、大庭君の顔は赤くなり、歪んでゆく。