どうしよう、また私のせいで険悪な雰囲気が生まれてしまう。



そう思って、でも何かを言う勇気もなくて、ただおろおろ3人を順番に見ていたら、不意に左肩を叩かれた。

びっくりして左へ顔を向けると、霧崎君の顔がすぐ横にある。


 
 

「本当の話は、しなくていい」


余計に驚いた私の耳に届いた言葉。

そのフレーズに思わず身体が動いてしまって、スカートのポケットから携帯電話が落ちていった。


がちゃん、音を立てる。


我に返って慌てて拾おうとしたものの、白い携帯電話に先に触れたのは霧崎君の指。

彼は無言のまま拾ってくれて、私の手の中に返してくれた。

そしてそのままさっきまでいた自分の席へと帰ってゆく。