――霧崎(きりさき)君? その窓辺にクラスメイトが立っている。 それに、彼と目が合う―― 読んでいたらしき本から顔を上げ、こちらを、私を見ている。 ああ、彼とは話したことがなかったな。 いつもひとりで、窓辺に佇(たたず)んでいたけれど。 ああやって本を読んでいたのかな。 おちてゆく。 やがて霧崎君は、見えなくなって。 私の身体は、鈍く緩い衝撃を受け入れた。