おれは笑った。

さっき想像したよりも、笑った。

無論、数学担任からは怒鳴られてしまった。

その紙切れを左手でくしゃっと丸めて、おれは静かに笑い続けた。

おれだって同じだ。

A型の翠とはうまが合わないと思う。

でも、A型は嫌いじゃない。

翠は天敵だと思う。

でも、いつも几帳面に手入れの行き届いている爪をしている翠を、本気で敵だとは思っていないのだ。

開け放たれた窓のずっと向こうに広がる、水色一色の背高のっぽのビルから、濃い白色の分厚い入道雲がもくもくと沸き上がっていた。

今日は、雷雨になるかもしれない。