眩しい朝日に左半身を照らされながら、机にうつ伏せて、リトルリーグの頃の夢を見ていた。


時間にすればたったの15分くらいだったのだと思う。


でも、おれは長い夢を見ていた。


「今日からチームに加わることになった、なついきょうやくん。みんな、仲良くしてな」


街の河川敷には野球のグラウンドがあって、同じ年代の男の子たちがたくさんいた。


おれは昔から人見知りで、なかなか打ち解けることができなかった。


どうすればいいのか分からずに、父さんの足にひっついておどおどしていると、気の強そうなやつがおれの手を引っ張った。


「おれは、けんご。おまえ、キャッチボールできる?」


おれは野球を観るのは好きだったけれど、実際にボールに触れたことなんてなかったし、なおさらキャッチボールなんてできなかった。


ふるふると首を振って肩をすくめていると、


「じゃあ、おれが教えてやる」


とおれの腕を引っ張って、グラウンドに飛び出した。


「グローブ、持ったきてる?」


「うん」


前日に父さんが買ってくれた、新品のミズノのグローブを右手にはめていると、けんごがおれに飛び付いてきた。


「すげえ! おまえ、サウスポーか? すげえすげえー!」


さうすぽお?


さうすぽおって、なんの事だろう。


おれが首を傾げて困っていると、けんごはおれにボールを預けて数メートル距離をとった。


「おーい! ちょっと投げてみろよー!」


とけんごは両手をブンブン振り回して、グローブを構えた。


大好きな阪神タイガースの選手の真似をして、大きくふりかぶって、おれは思いっきりボールをぶん投げた。