「よっしゃ、100」


家の前で素振りを100回やって、ひとっ風呂浴びて、飯を食って、明日のイメージを膨らませていた。


ベッドに寝転がり、目を閉じ、第一球目を投じるイメージを膨らませていると、着うたが耳をつんざいた。


「おー、びびるー! つうか、誰だよ」


耳元に置いてあった携帯電話に、着信があった。


左手でひょいと取り上げ、ディスプレイを確認する。




翠 自宅





「自宅?」


おれは首を傾げて、ガバッと起き上がった。


へんだとは、思った。


さえちゃんなら、まず、携帯からかけてよこすし。


不信に思いながらも、でも、そこまで深く考えずに通話ボタンを押した。


「はい」


『きょーですか?』


「えっ……あかねちゃん?」


電話に出て、びっくりした。


『きょー? きょーですかあっ? もしもし?』


そのまーに、こういう事があるのだ。


翠の家の電話の壁には、おれの携帯番号が大きく書かれた紙が貼ってある。


翠が、そうしたらしい。


それを見て、あかねちゃんがたまにイタズラ電話をしてくる事があるのだった。