陽射しが、きつい。


グラウンドの校舎側に面したブルペン横には、大きな向日葵が今年も見事に咲いた。


7月。


翠は、南台大学病院から少し離れた、西中央総合病院へ移動となった。


都会から来た脳腫瘍の専門医が居るらしく、そこで完治を目指そうという事になったのだ。


南台大学病院と比べて、西中央総合病院は、南高校からもおれの家からもまた少し遠くにある。


でも、おれは朝いつもより1時間早起きをして、夜は練習が終わり次第、自転車を走らせた。


翠の手術予定日が決まったのは、地区予選大会が終わった日に知らされた。


6月19日の、午前10時に、手術予定日をさえちゃんがメールで知らせてくれた。


翠は、1ヶ月後の7月19日に、二度目の手術を受ける事になった。


今度は少し難しい手術になるらしい。


後遺症も覚悟しなければならないのだ、と、さえちゃんから告げられた。


そして、7月22日から、いよいよ夏の甲子園県予選大会が幕を開ける。


今年の県予選大会は、開催されて以来の55校、最多出場となった。


南高校は、地区予選大会2回戦敗退に終わったため、Bブロックでノーシードからの始まりだ。


22日は組み合わせの関係上、開会式だけで、おれたちは23日、午前10時プレイボール予定となった。


初戦の敵は明成高校で、練習試合すらした事のない、全くデータすらないチームだ。


でも、どんな敵だろうとも、おれはもう勝つしかない。


後がないのだ。