ゆっくり光輝さんを見ると、彼は凍り付いたように固まっている。
それから迷い人に視線を移すと、〝その人〟は指をさすように前方を示す。
私たちは三人とも、足の裏を地面に縫い付けられたように動けずにいた。
誰もが重たく口を閉ざしたまま〝最悪の結末〟を考えている。
――でも、進まないと。
決意した私は唇を引き結び、光輝さんに言った。
「行きましょう! 終わらせないと!」
それを聞き、光輝さんは顔色を真っ青にしながら小さく頷いた。
迷い人のあとをついて歩き、たどり着いたのはとあるマンションの前だった。
〝その人〟はマンションを指さし、私たちを見つめている。――ように思える。
「……光輝、行こう。何もなければないで、それでいいんだ」
緋一さんが励ますけれど、今は空しく感じられる。
私たちはマンションの中に入り、光輝さんが鍵でオートロックを開ける。
「……家、二階なんだ」
彼は誰にともなく言い、エレベーターに乗る。迷い人は中に入らないらしく、あとは自分たちで確かめろと言っているようだ。
エレベーターが二階に着いた途端、光輝さんは「うっ……」と片手で口元を覆った。
「どうした? 光輝」
緋一さんが心配そうに声を掛けるなか、彼は苦しげな表情で首を横に振る。
私は胸の奥に重たくて大きな鉛玉でも入れられた気持ちで、一歩ずつ前に進む。
好きな人の家に初めて訪れるというのに、気持ちは死刑台に向かう囚人のようだ。
やがて光輝さんはドアの前で立ち止まり、深呼吸してから鍵を開けた。
ガチャンッと錠が回転する音がやけに響き、私たちの心を冷やす。
中に入ると、部屋のカーテンは閉めきられていて真っ暗だ。
――と、パチンと音がして電気がついた。
「――――あぁあ…………っ!」
悲鳴にも似た声を上げたのは、私だろうか、光輝さんだろうか。
それとも、緋一さんだったかもしれない。
それから迷い人に視線を移すと、〝その人〟は指をさすように前方を示す。
私たちは三人とも、足の裏を地面に縫い付けられたように動けずにいた。
誰もが重たく口を閉ざしたまま〝最悪の結末〟を考えている。
――でも、進まないと。
決意した私は唇を引き結び、光輝さんに言った。
「行きましょう! 終わらせないと!」
それを聞き、光輝さんは顔色を真っ青にしながら小さく頷いた。
迷い人のあとをついて歩き、たどり着いたのはとあるマンションの前だった。
〝その人〟はマンションを指さし、私たちを見つめている。――ように思える。
「……光輝、行こう。何もなければないで、それでいいんだ」
緋一さんが励ますけれど、今は空しく感じられる。
私たちはマンションの中に入り、光輝さんが鍵でオートロックを開ける。
「……家、二階なんだ」
彼は誰にともなく言い、エレベーターに乗る。迷い人は中に入らないらしく、あとは自分たちで確かめろと言っているようだ。
エレベーターが二階に着いた途端、光輝さんは「うっ……」と片手で口元を覆った。
「どうした? 光輝」
緋一さんが心配そうに声を掛けるなか、彼は苦しげな表情で首を横に振る。
私は胸の奥に重たくて大きな鉛玉でも入れられた気持ちで、一歩ずつ前に進む。
好きな人の家に初めて訪れるというのに、気持ちは死刑台に向かう囚人のようだ。
やがて光輝さんはドアの前で立ち止まり、深呼吸してから鍵を開けた。
ガチャンッと錠が回転する音がやけに響き、私たちの心を冷やす。
中に入ると、部屋のカーテンは閉めきられていて真っ暗だ。
――と、パチンと音がして電気がついた。
「――――あぁあ…………っ!」
悲鳴にも似た声を上げたのは、私だろうか、光輝さんだろうか。
それとも、緋一さんだったかもしれない。



