私には友達と呼べる人がいない。
いつからそうなったのか……覚えていない。
気が付いたら、空気みたいな存在になっていた。
居ても居なくてもいい存在。
殴られるわけでもない。
罵倒されるわけでもない。
美術部だけど、部活を休んでも誰も気付かない。
時々、物が無くなることがある。
決まって、それらはトイレで見つかる。
私が捨てたわけではない……。
数日前から、新しい教育実習の先生が来ている。
どこか、あの子に雰囲気が似ている。
そう。
あの子は、今の私にとって一番大切な存在。
四つ下の男の子。
兄弟のいない私にとって、弟みたいな存在だった。
とても可愛い子。
とても人見知りで、自分のことを言うのが苦手な子。
そんな彼と、なぜか私は気が合った。
何気ない話題。
何でもない話。
昨日のテレビのこと。
でも、お互い学校でのことは話さない。
その距離感が心地良かった。
何で先生とその子が似ていると思ったのか……。
私自身にも分からない。
でも、ただそう思った。
いつから私はこんなんだろう?
私は、なんでこんなになった?
……寂しい。
……辛い。
どこかへ消えてしまいたい。
私もいつかサナギになって、綺麗な蝶になりたい。
皮を破って、違う自分になりたい……。
「……どうした?」
「……しんどう?」
「新藤?」
……え?
「今日、部活行くよな?」
楠本先生が話しかけてきた。
「……はい」
私は冷たく返事をしていた。
あの子に似ているからか、
自然と返事が出来ていた。


