魔法の花が教えてくれたこと

それは、穏やかな晴れの日のことだった。

『ねぇ、お姉さんは、告白される前に戻りたい?』
『この花の花びらを一枚ちぎって“やり直したい”と願えば、きっと告白される前に戻れる。……そう、魔法だよ』
 
 見たこともない少女から、自分の名前でもあるアヤメの花を差し出されてそう言われた時。
 正直、安心してしまった。ずっと拭えない陸斗への罪悪感から解放されると思ったから。

 それと同時に、気づきたくないことに気づいてしまった。

 過去に戻りたい。
 別れたい。
 本性を明かしてもう一度付き合い直したい。
 このまま、仮面を被っていたい。

 全部、本心で。
 
 私は、何がしたかったんだろう。

 それが自分でも、わからないことに。