あの日以来、何となくお母さんを避けてしまっている。
冷静な頭で考えた時、お母さんは間違ったことなんて一つも言ってない事をしっかりと理解できて、それが逆に苦しかった。
ただ力任せにブチ切れられたら楽なのに。
間違ったことは言ってないけれど、お母さんの言葉を受け入れた時、遊星の陰口を言っているような気になると思うから、許せずにいる。
「そうだ。みんなボイス聞いてくれた??初めての甘々系ボイスに参加させて頂いたんだけど、本気で恥ずかった!!!!」
「ふはは、そうだったんだ」
思わず会話みたいに言葉が出てしまった。
会員限定ラジオ配信は、基本的にチルくて、就寝間際の時間でもあるから睡眠用として流すことが多い。
ゆるく話されると隣にいるみたいな感覚になって、どうもツッコミとか会話みたいに声を出してしまう。
その度勝手に恥ずかしくなって、黙ろうと決意するけれど結局またどーでもいいところでコメントに共感したりで声が出る。
目を閉じて聞いていると、遊星の意地悪げな声がコメント欄をざわつかせた。
「明日、嬉しいお知らせあるんだよね〜。十八時頃かな〜」
リラックスしていた脳みそが、一気に踊り出した。
なんだって!?嬉しいお知らせ!?
頭の中で可能性を何個も並べる。
グッズ?イベント?新衣装?先輩とのコラボ?歌?
コメント欄もそのような予想と、歓喜の声で溢れていて、遊星は楽しそうに笑っていた。
※
自分の態度で支障をきたし始めたのは、中学二年生の時だった。
元々群れるのは好きじゃなくて、教室の端で本を読んだり、グループ学習とかにならないと人と話さないような人間だった。
小学生の頃は、みんな各々が遊ぶことに夢中で、面白みのない私なんて見向きもされなかった。
それが心地よかったし、みんなが遊んでいる姿を眺めている方が性に合っていたように思う。
そんな安全地帯が崩れ去ったのが、中学二年生。
クラス替えをして、同学年で一番可愛くてみんなの憧れで、どこに居ても輪の中心になるような美玲ちゃんと同じクラスになってからだった。
常に美玲ちゃんが中心となってクラスが回っているような圧迫感を覚えつつも、関わらなかったら耐えられると思い今まで通り接していた。
その姿が気に食わなかったようで、常に一緒にいた美玲ちゃん含む三人組がわざわざ私の目の前にきて――。
『いっつもノリ悪いよね〜』
そう吐き捨てた。
私は言い返そうなんて思わなかった。
純粋に、ただ私の態度が良くないんだなと判断して、その日から今までの私が嘘みたいにいなくなって、常にニコニコしているようになった。
そうすると、何故かお母さんも嬉しそうで、一石二鳥だと思って生活していた。
だけど、そんな偽った自分で居続けられるはずもなく、高校へ進学するとまた教室の端にいるようになった。
正直、息がしやすかった。
みんなからの期待に応えなくていい。本当の私でいてもいい。
そう自分に許すのは難しかったけど、生きやすかった。
だけど、一度違和感を覚えたことは心に棘として残るみたいで、必要な場では愛想笑いをするという術は身についた。
小学生の私より一歩大人になったということだ。
そんな気持ちを引きずってきた中で、未来遊星を見つけて、楽しく生きている。
この姿はそんなにも"変なイラストばかり見ているやつ"として映るのだろうか。
偽って生きていくことが正解で、好きなことの為に籠ることは不正解なのだろうか。
(あー、人付き合いって難しい......)
日が落ちてきた公園はもう鳥肌を作るくらいには寒い。
ポケットの中で振動したスマホを取り出す。
昨日遊星が言っていた、嬉しいお知らせの告知だ。
思わず飛び上がりベンチから立ち上がる。
寒いなんて言っていたのが嘘みたいに、体の芯から熱くなってきた。
通知をタップしてSNSに飛ぶと、そこには【ハロウィングッズ発売!!】と大々的に書かれてる。
遅れて届いた通知もタップすると、カラオケコラボ決定!!と書かれていた。
「まって......!?!?ヤバすぎ」
心臓が一気に暴れだして、血液が身体中を駆け巡っている。
自然と口角が上がって、幸せな気持ちに囲まれているような気分だ。
私の生活はこれなんだ。
友達と遊ぶでも、彼氏を作るでもない。
好きなものを好きなままに愛する。
こんなに気持ちが高なっているんだから、私はこのままで構わない。
推しに貢いで、経済が回るなら私の好きには十分に価値がある。
冷静な頭で考えた時、お母さんは間違ったことなんて一つも言ってない事をしっかりと理解できて、それが逆に苦しかった。
ただ力任せにブチ切れられたら楽なのに。
間違ったことは言ってないけれど、お母さんの言葉を受け入れた時、遊星の陰口を言っているような気になると思うから、許せずにいる。
「そうだ。みんなボイス聞いてくれた??初めての甘々系ボイスに参加させて頂いたんだけど、本気で恥ずかった!!!!」
「ふはは、そうだったんだ」
思わず会話みたいに言葉が出てしまった。
会員限定ラジオ配信は、基本的にチルくて、就寝間際の時間でもあるから睡眠用として流すことが多い。
ゆるく話されると隣にいるみたいな感覚になって、どうもツッコミとか会話みたいに声を出してしまう。
その度勝手に恥ずかしくなって、黙ろうと決意するけれど結局またどーでもいいところでコメントに共感したりで声が出る。
目を閉じて聞いていると、遊星の意地悪げな声がコメント欄をざわつかせた。
「明日、嬉しいお知らせあるんだよね〜。十八時頃かな〜」
リラックスしていた脳みそが、一気に踊り出した。
なんだって!?嬉しいお知らせ!?
頭の中で可能性を何個も並べる。
グッズ?イベント?新衣装?先輩とのコラボ?歌?
コメント欄もそのような予想と、歓喜の声で溢れていて、遊星は楽しそうに笑っていた。
※
自分の態度で支障をきたし始めたのは、中学二年生の時だった。
元々群れるのは好きじゃなくて、教室の端で本を読んだり、グループ学習とかにならないと人と話さないような人間だった。
小学生の頃は、みんな各々が遊ぶことに夢中で、面白みのない私なんて見向きもされなかった。
それが心地よかったし、みんなが遊んでいる姿を眺めている方が性に合っていたように思う。
そんな安全地帯が崩れ去ったのが、中学二年生。
クラス替えをして、同学年で一番可愛くてみんなの憧れで、どこに居ても輪の中心になるような美玲ちゃんと同じクラスになってからだった。
常に美玲ちゃんが中心となってクラスが回っているような圧迫感を覚えつつも、関わらなかったら耐えられると思い今まで通り接していた。
その姿が気に食わなかったようで、常に一緒にいた美玲ちゃん含む三人組がわざわざ私の目の前にきて――。
『いっつもノリ悪いよね〜』
そう吐き捨てた。
私は言い返そうなんて思わなかった。
純粋に、ただ私の態度が良くないんだなと判断して、その日から今までの私が嘘みたいにいなくなって、常にニコニコしているようになった。
そうすると、何故かお母さんも嬉しそうで、一石二鳥だと思って生活していた。
だけど、そんな偽った自分で居続けられるはずもなく、高校へ進学するとまた教室の端にいるようになった。
正直、息がしやすかった。
みんなからの期待に応えなくていい。本当の私でいてもいい。
そう自分に許すのは難しかったけど、生きやすかった。
だけど、一度違和感を覚えたことは心に棘として残るみたいで、必要な場では愛想笑いをするという術は身についた。
小学生の私より一歩大人になったということだ。
そんな気持ちを引きずってきた中で、未来遊星を見つけて、楽しく生きている。
この姿はそんなにも"変なイラストばかり見ているやつ"として映るのだろうか。
偽って生きていくことが正解で、好きなことの為に籠ることは不正解なのだろうか。
(あー、人付き合いって難しい......)
日が落ちてきた公園はもう鳥肌を作るくらいには寒い。
ポケットの中で振動したスマホを取り出す。
昨日遊星が言っていた、嬉しいお知らせの告知だ。
思わず飛び上がりベンチから立ち上がる。
寒いなんて言っていたのが嘘みたいに、体の芯から熱くなってきた。
通知をタップしてSNSに飛ぶと、そこには【ハロウィングッズ発売!!】と大々的に書かれてる。
遅れて届いた通知もタップすると、カラオケコラボ決定!!と書かれていた。
「まって......!?!?ヤバすぎ」
心臓が一気に暴れだして、血液が身体中を駆け巡っている。
自然と口角が上がって、幸せな気持ちに囲まれているような気分だ。
私の生活はこれなんだ。
友達と遊ぶでも、彼氏を作るでもない。
好きなものを好きなままに愛する。
こんなに気持ちが高なっているんだから、私はこのままで構わない。
推しに貢いで、経済が回るなら私の好きには十分に価値がある。

