「絶対に死なないでね」と、君がそう言ってくれたから。〜未来へ進むため、僕と彼女の一歩目~

「榊(さかき)くん」
「……阿久津(あくつ)さん⁉」
 翌日。
 校舎裏で昼食をとっていると、声をかけられた。
 阿久津(あくつ)さんも、弁当を持っていた。
「隣、良い?」
「あ、うん……」
 隣、と言っても、隣のベンチだから、あまり近くはない。
「……おいしそうだね、それ」
「コンビニ弁当だけどね……」
「良いじゃん、コンビニ弁当。私、あんまり食べたことないからさ」
「そう、なの……?」
「うん。いっつもお母さんがつくってくれるから」
 阿久津(あくつ)さんが持っている弁当は、とても美味しそうだった。
 ……愛情がこもっているんだろうな、と思う。
「いただきまーす」
 誰も来ないから、ここを選んでいたのに……。
 さっさと食べて、すぐに去ろうかと思う。
「……探したよー。全然見つからないから」
「探した……?」
「うん、そう。榊(さかき)くんに会いたくて。ほら、昼休みになると、すぐに出て行っちゃうからさ。めっちゃ探した」
 わざわざ探していたのか……。
 だから、こんなところに……。
「あのさ、榊(さかき)くん」
「俺に関わらないほうが良いよ」
 阿久津(あくつ)さんの言葉を遮って、そう言う。
「知ってるでしょ?……俺、園田(そのだ)にいじめられてるんだよ。二人でいるところ見られたら、阿久津(あくつ)さんだって……」
「別に良いよ、私は」
「良くないよ!」
 いじめられるようになってから、絶対に誰とも関わらないと決めていた。
 中学の時、俺の親友がいじめられるようになってしまったから。
 ……俺を、庇ったせいで。
 しかも、俺はそんな親友を助けなかった。
「……どうせ、分かんないでしょ?いじめられる側の気持ちなんて。……いじめられてからじゃ、遅いんだよ」
「榊(さかき)くん……」
「どうせ、みんな助けてくれないよ?七海(ななみ)さんも、早川(はやかわ)さんも、水城(みずき)さんも……」
 アイツは……、卓哉(たくや)は、ずっと俺を見ていた。
 ――『助けて』って。
 でも、俺は、それを……。
「ごめん。俺、もう行くね」
 食べ終わった弁当を持って、足早に立ち去る。
 一度だけ振り返った時、阿久津(あくつ)さんは、少し寂しそうな顔をしていた。