「絶対に死なないでね」と、君がそう言ってくれたから。〜未来へ進むため、僕と彼女の一歩目~

「そっか。お母さん、了承してくれたんだ」
「うん。まあね」
 あの後、阿久津(あくつ)……衣彩(いさ)さんと七海(ななみ)が、もう一度園田(そのだ)にきつく言ってくれたようで、俺へのイジメは完全になくなった。
 こっそり、謝罪もしてくれた。
「……衣彩(いさ)さんは、学校の先生になりたいんだよね?」
「うん。先生として、色んな子どもたちを救いたいんだよね。ほら、なんだかんだ言っても、学校って、悩み事が多い場所でしょ?」
「まあ、そうだね」
 衣彩(いさ)さんも、前を向けたようで、良かった。
「……じゃ、帰ろっか」
「うん、そうだね」
 校舎裏のベンチは、今は使えない。
 壊れてしまったそうだ。
 それでも構わない。
 もう、俺の居場所は、あのベンチだけではなくなったから。
「……衣彩(いさ)さん」
「ん?どうしたの?漣(れん)」
「……結構前の話だけどさ。衣彩(いさ)さん、俺に『絶対に死なないでね』って言ってくれたじゃん?」
 あの言葉がなかったら、俺はきっと死んでいた。
 ここにはいなかった。
「あー。あったね、そんなことも」
「……それに、返事とか、してなかったな、って思って」
 少し不思議そうな顔をしている衣彩(いさ)さんに、俺は笑いかけて、こう言った。

「――俺、もう、絶対に死なないから」