「絶対に死なないでね」と、君がそう言ってくれたから。〜未来へ進むため、僕と彼女の一歩目~

「……貰うぜ、榊(さかき)」
 体育館裏。
 財布から、千円札が抜き取られた。
 今までも何度もあったから、もう慣れてしまった。
 殴られたり、蹴られたり。
 リアクションらしいリアクションは一切しない。
 園田(そのだ)は、つまらなさそうに教室に戻っていく。
 服についた土を払う。
 ……もう、こんな生活、終わりにしよう。
 教室に戻りながら、そんなことを思う。
 ……飛び降りよう、屋上から。
 俺が通う学校は、公立高校ではトップクラスの学校。
 屋上にたむろって、授業をサボるような生徒はいない。
 そもそも、あまり屋上に近づかない。
 だから、多くの生徒は知らない。
 ――屋上の鍵は、壊れている。
 それを直すお金もないし、特に問題も起きていないから、そのままなのだ。
 世間にバレたら、叩かれるんだろうな。
 そんなことを考えながら、弁当を取り出す。
 今日も、コンビニ弁当だ。
 母さんは、俺のために弁当をつくってくれないから。
 ……一度くらい、食べたかったな。
 でも、もうそんな機会はない。
 昼食をとったら、死のう。
 そう心に決めて、いつもと同じ、校舎裏のベンチに向かった。