「絶対に死なないでね」と、君がそう言ってくれたから。〜未来へ進むため、僕と彼女の一歩目~

「……っ!」
 声にならない声。
 教室は、静まり返っている。
 恐怖に怯える子。
 驚いて、立ち尽くしている子。
 “あっち”を見れない子。
「……ねえ、何回私に『死ね』って言った?」
 一人の女の子に、もう一人の女の子が近づく。
 倒れている彼女から、二人の女の子が離れる。
 二人とも、恐怖に震えている。
「何回『消えろ』って言った?何回『死ね』って言った?……ねえ!崎本(さきもと) 乃愛(のあ)⁉︎答えなさいよ!」
 静まり返った教室に、彼女の声が響き渡る。
 そこまで大きな声ではなかったと思う。
 でも、静かな教室では、とても大きく聞こえた。
 みんなが、“そこ”に注目していた。
「……ねえ、崎本(さきもと)さん。あの世で一緒になろうね?」
 そう言った彼女は、フラフラと教室を出ていく。
 誰も動けない。
 恐怖が、私たちを縛り付けていた。
「――私、先生呼びに行ってくる!」
「俺も」
 どれくらいの時間が経過しただろうか。
 学級委員の二人が、職員室に向かう。
「……ねえ、ヤバイよ」
「どうしよ……」
 倒れている彼女は、もう動いていない。
 触ったら、冷たいんだろうな。
「……ごめんね」
 ――何もできなくて、ごめんなさい。