オネエの同級生にスキンケアを叩き込まれています



   《SIDE 久礼日向》


 横にベッドがあるのに、俺とユウは床でとじゃれ合うように唇を啄みあった。
 疲れと安心からだろう。
 啄みが緩やかになったと思ったら、ユウは微睡みかけていた。
 小さな体をそっと持ち上げて、ベッドに移し、寝息が聞こえるまでユウの頬や首筋に振るだけのキスを落とした。
 ユウはスウェットをしっかり握って眠ってしまったため、俺はユウを起こさないようにスウェットを脱ぐと、ベッドから降りてスマホを手に取った。
 メッセージを入力して送信すると、一〇秒ほどで返信が届いた。
《廊下に出ろ》
 俺は部屋の明かりを消すと、メッセージに従って廊下にでた。
 別室から顔を覗かせていた旭さんが、俺を見て噴きだした。
 ドアがより大きく開き、始さんが顔をだす。いつ戻ってきたのか、冨塚さんが奥でくつろいでいた。
「このご時世に、追剥にでもあったのかよ」
 冨塚さんがニヤリとした。
「ユウを起こさないように脱ぐか、そのまま寝るかの二択だったので脱ぎました」
「起こすの選択はないかあ。愛だね」
 パソコンから声がした。
 画面を覗くと、三木さんが手を振ってきた。
「今、なんか着る物を持ってくるわ」
 始さんは俺の背中を強めに叩くと、部屋から出ていった。
 かなりの痛みに顔を顰めていると、
「立派な紅葉だねえ」
 冨塚さんがしみじみとする一方で、旭さんはベッドに倒れ、丸めた体をピクピク震わせていた。
 好きな人の親族に、嫌われるよりは笑われたほうがマシかと、俺は後頭部に手を当てた。
 食事前に濁らせた返事は、もう決まっている。
 ここまでユウを追い詰めたヤツらを、野放しにはできない。
 かといって、ユウにかかる負担はなるべく減らしたい。
 折衷案はあるはずだ。
 加藤とかいう四人組は今、校門での待ち伏せが失敗して、相当面白くないだろう。そんな今なら、ちょっと大胆な作戦だってうまくいくはずだ。
 俺はユウが朝まで起きないよう念じつつ、始さんから渡されたパーカーを羽織ると、ユウの心のケアや、今後について話し合った。