俺と馴染み始めたカーディガンの袖を萌え袖にして見つめる。かれこれ、三週間は共に生活していて、徐々に俺の匂いが染み付いていき、新品の香りが消えてきた。
お昼に初めて俺の隠れ家へ呼び出したその日、早柚ちゃんと陽菜乃ちゃんの言葉で、あいつの事がより分からなくなった。......なんで俺とのプリクラに一々価値つけてんだよ。
図書室の窓側の席を陣取り、さっきから何度もため息をこぼす。何となく気まづくてあの日から賢吾と話していない。受付で会話はするけれど、それも業務的だ。
確か、俺が早柚ちゃんと陽菜乃ちゃんを探してたのは、今までのツーショチェキを密売し、デート券を不正入手しようとしていたからだ。なんで??
(賢吾がまた行きたそうにしてたから......)
あ"ー!!何度考えてもこれしか浮かばねぇ。本を開いてもなんにも内容入ってこねぇし。
苛立ちを感じて本を閉じる。顔を両手で覆い、考えたくないことが頭に過ぎる度に消し飛ばそうと必死になる。
――賢吾のこと好きになってるのか?
な訳ない。俺が恋とか愛とか、死んでも無理。恋愛は向いてない。
それに、どこに惚れる要素があったんだよ。俺の言葉に引かず押し通してきた姿か?可愛いって言われたからか?服買ってくれたから?俺をずっと見てたらしいから?どれも浅いんだよ......。自分の感情の複雑さに、嫌気がさしてきた。
俺はもう恋はしな――
「わー!!おめでとー!!比嘉くんとの擬似新婚デート楽しんで来てね!!」
は......?
受付を見やると、制服を正しく身につけたお下げの女の子が、賢吾の前でモジモジしているのが目に入った。賢吾の表情も全く嫌じゃなさそうで、なんかムカつく。
行き場のない空気が体の中で暴れていて気持ち悪い。なんだよこれ。なんで嫌そうじゃないんだよ。
本を手に持って、勢いよく立ち上がる。大きな音を立てる度胸なんて持ち合わせておらず、ただ生徒が一人出ていくだけの何もおかしくない行動になってしまった。
早足でドアを目指すと、か細い声が俺の右耳を掴んで引き止めた。目を向けると、先程のお下げの女の子が縮こまって立っていた。
「あの......」
「はい?どうしたの?」
「安達先輩ですよね?も、もしよろしければ、これ比嘉先輩と行ってきてくださいっ」
「え」
震える手でこちらに伸ばされるそれは、俺が一度手にしたことのある、キラキラゴテゴテの【デート券】だった。数回人の手に渡ったのだろう。前回よりもパーツが落ちている。
戸惑いながらも受け取り、受付に目を向けるも、誰一人こちらを見ていない。困ったな。確かこれは、
「嬉しいんだけど、この券本人以外は使えないみたいなんだよね」
嬉しい??あと、なんで俺と賢吾なの??
「え、さっき比嘉先輩にお聞きしたら、安達先輩に渡していいって......」
「ぁ......ま、まじ?なら貰うわ〜。嬉しい、ありがとうな」
お下げのかわい子ちゃんの頭を撫でると、頬を染めて小走りで図書室を後にした。
そうだよ。これだよな。本来の可愛いって。守ってあげたいとか、いい匂いがするとか、肌がもちもちとかさ。
女の子が居なくなったのを確認してから、俺は鋭い眼光を賢吾に直当てする。あいつマジなんなの。
ズカズカ進み、逃げられないように賢吾の右腕を掴む。
「ちょい、ツラ貸せ」
お昼に初めて俺の隠れ家へ呼び出したその日、早柚ちゃんと陽菜乃ちゃんの言葉で、あいつの事がより分からなくなった。......なんで俺とのプリクラに一々価値つけてんだよ。
図書室の窓側の席を陣取り、さっきから何度もため息をこぼす。何となく気まづくてあの日から賢吾と話していない。受付で会話はするけれど、それも業務的だ。
確か、俺が早柚ちゃんと陽菜乃ちゃんを探してたのは、今までのツーショチェキを密売し、デート券を不正入手しようとしていたからだ。なんで??
(賢吾がまた行きたそうにしてたから......)
あ"ー!!何度考えてもこれしか浮かばねぇ。本を開いてもなんにも内容入ってこねぇし。
苛立ちを感じて本を閉じる。顔を両手で覆い、考えたくないことが頭に過ぎる度に消し飛ばそうと必死になる。
――賢吾のこと好きになってるのか?
な訳ない。俺が恋とか愛とか、死んでも無理。恋愛は向いてない。
それに、どこに惚れる要素があったんだよ。俺の言葉に引かず押し通してきた姿か?可愛いって言われたからか?服買ってくれたから?俺をずっと見てたらしいから?どれも浅いんだよ......。自分の感情の複雑さに、嫌気がさしてきた。
俺はもう恋はしな――
「わー!!おめでとー!!比嘉くんとの擬似新婚デート楽しんで来てね!!」
は......?
受付を見やると、制服を正しく身につけたお下げの女の子が、賢吾の前でモジモジしているのが目に入った。賢吾の表情も全く嫌じゃなさそうで、なんかムカつく。
行き場のない空気が体の中で暴れていて気持ち悪い。なんだよこれ。なんで嫌そうじゃないんだよ。
本を手に持って、勢いよく立ち上がる。大きな音を立てる度胸なんて持ち合わせておらず、ただ生徒が一人出ていくだけの何もおかしくない行動になってしまった。
早足でドアを目指すと、か細い声が俺の右耳を掴んで引き止めた。目を向けると、先程のお下げの女の子が縮こまって立っていた。
「あの......」
「はい?どうしたの?」
「安達先輩ですよね?も、もしよろしければ、これ比嘉先輩と行ってきてくださいっ」
「え」
震える手でこちらに伸ばされるそれは、俺が一度手にしたことのある、キラキラゴテゴテの【デート券】だった。数回人の手に渡ったのだろう。前回よりもパーツが落ちている。
戸惑いながらも受け取り、受付に目を向けるも、誰一人こちらを見ていない。困ったな。確かこれは、
「嬉しいんだけど、この券本人以外は使えないみたいなんだよね」
嬉しい??あと、なんで俺と賢吾なの??
「え、さっき比嘉先輩にお聞きしたら、安達先輩に渡していいって......」
「ぁ......ま、まじ?なら貰うわ〜。嬉しい、ありがとうな」
お下げのかわい子ちゃんの頭を撫でると、頬を染めて小走りで図書室を後にした。
そうだよ。これだよな。本来の可愛いって。守ってあげたいとか、いい匂いがするとか、肌がもちもちとかさ。
女の子が居なくなったのを確認してから、俺は鋭い眼光を賢吾に直当てする。あいつマジなんなの。
ズカズカ進み、逃げられないように賢吾の右腕を掴む。
「ちょい、ツラ貸せ」
