おもちゃ箱に恋をした!?いえこれは断じて恋ではありません!

「小学生の時はサッカーしてて、中学はバスケ部。甘い物は好きだけど、甘過ぎるのは嫌い。辛いものも食べられるけど、辛すぎるのは苦手」
「さっきから、何やってんの?」
田中が僕の、携帯のメモを覗き込みながら、遊と僕を見る
「もうすぐ、遊と一旦バイバイだから、色々知らなかったことを聞いてるの」
「ふーん」
もう一度、メモを覗き込み
「当たり前のことしか、書いて無いじゃん」
遊は、僕の机の上で、小さな消しゴムで動物園を作っている。あっカバが増えてる
「当たり前って?」
「みーんな、甘過ぎるのは嫌いだし、辛すぎるのは苦手だよ」
「そうかな?」
「男前はだいたい、小学生でサッカーしてるし、中学では、そのままサッカーするかバスケだし」
「そうかな?」
「あと」
他のメモも見て
「この、趣味、映画鑑賞、読書。なんて、履歴書の例文に載ってるヤツじゃん」
「そうだけど」
「せっかくなら、もっと、草壁君が本当に知りたいことを聞いたらから?」
津田が登校と同時に合流してきた
「知りたいこと…」
「そうそう、なんで、こんなに、ちっちゃい消しゴムばっかり買ってくるのか?とか」
「それは、草壁君が、かわいいのが好きだからだよ。ねっ、箱星君?」
遊は、水辺の動物達だけを集めている途中
「あぁ」
とりあえず、返事だけはしてくれた。
「遊、カバ増やしてくれたの。ありがと」
「こいつ、かわいいよな」
カバの消しゴムを持ち上げる、遊の笑顔がかわいい
「えーじゃあ、何を聞く?」
もうお手上げと、田中が机に倒れ込む
「田中は、箱星君に聞きたいこと無くても、草壁君はあるよね。例えば、彼女居ましたかぁ?とか」
津田は、ふざけたフリをして、確信をついてくる。
遊の交友関係を聞くのが僕は苦手だ
彼女にしても、友達にしても、僕の知らない遊を知ってる誰かを想像するだけで、胸が苦しい
僕が1番、遊を知っている人間でありたい
僕が1番の、遊の友達でありたい
答えを聞く前なのに、もう苦しくて、このままだと涙が溢れそう。つい​爪が手のひらに食い込むほど、ギュッと拳を握りしめる。
黙っていた遊が
「例えば、クリスマスに過ごしたい相手はいますか?とか」
そう言いながら、僕の拳に優しく触れた
僕は遊を見つめる
「温しか、いない」
体中の力が抜ける答え
だから、我慢していた涙も流れる
「なんで、泣くの?」
その問への答えが見つからない
僕は首を横にふった
遊はポケットからハンカチを取り出して涙を丁寧に拭いてくれた
机に倒れ込んでいた田中が起き上がる
「草壁、この1、2分の間になにがあった?」
僕は、泣き笑いながら、
「何もないよ」
と答えた
「何にも無いわけ無いだろう、なっ津田?」
「何にも無い」
と首を横にふる
「えっ、箱星、なん」
「何にも無い」
「答えが早いよ、えーなんだよ〜」
予鈴が鳴り、それぞれ席に戻っていく。
消化不良な田中の表情が僕の涙を乾かした
田中、ありがと〜