おもちゃ箱に恋をした!?いえこれは断じて恋ではありません!

こうして思わぬ形で、僕には友達が出来た。
UFOを呼んでから…いや、もちろん、UFOは来なかったけど。
その次の日から、僕と田中の席をくっつけて、4人でお昼を食べている。

箱星「いただきマンゴー」
田中「いただきマングース」
津田「…インペリアルマンモス」
「もう、全然違うじゃん。はい、いただきまーす」
この、3人…謎に気が合っている。
ツッコんでも、引かれることがない。
面白ければ普通に笑ってくれる。
この環境が何よりも嬉しい。
この3人、マジで…いい奴過ぎ。

「なに、ニヤけてるの?」
と、箱星が、僕の顔を覗き込む。
「ちかっ」
僕は、思わずのけぞる。
箱星のいい匂いが、僕に少しの劣等感を感じさせる。
箱星は、冗談ぽい話し方で
「いいじゃん別に。減るもんじゃなしー」
と、椅子をもっと僕に近づけた。
いやいや、僕、臭かったらどうしよう…。
不安になり、箱星にバレない様に、自分の肩の匂いを嗅ぐ。ただの洗濯物の匂い。
「減らないんだけど…」
距離間が…箱星はとにかく近い。
今も、僕の真隣にいる…肘と肘がくっつく距離。
「普通、隣じゃなくて、こっちだから」
と、僕は机をカギカッコのようになぞった。
「こっちの辺にイスを持ってきて…」
「いいじゃん、減るもんじゃなしー」
と、田中が、箱星のマネをして、会話に入ってくる。
「田中、津田はちゃんと、こっちの短い辺の方にいるだろ」
「そりゃ、津田は普通で、箱星は普通以外だからな。そんなことより、2人は中間テストどうする?」
普通以外って何だ?
宇宙のように遠かった箱星は、今は真隣で、普通以外というカテゴリーに入れられても、それを特に気にする様子もなく、お弁当を広げている。

「明後日からじゃん。UFOにお願いするつもりだったのに、来なかったし。」
田中…神頼みは聞いたことあるけど、UFO頼みをする奴は初めてみたよ。
田中って天然か?
頭の中どうなってるんだ?そんな事を考えていると
「もしかして…お前ら勉強、出来る系?」
と、田中が僕と箱星を指差してきた。
「俺と津田は、ここの高校入試、ギリギリだったから。なっ」
と、もぐもぐと口いっぱいに、おにぎりを頬張っている津田を見る。
津田は、リスみたいに、ほっぺをパンパンにしたまま、小刻みに頷いた。
「津田、大丈夫?急いでるの?」
首を横に振る津田。
話せない津田の代わりに田中が、
「急いでないよ。好きな物は、こうやって食べる癖があるの、津田って。」
「好きな物…」
「だから、好きな物って、口に、いっぱい入れたら幸せじゃん。それ」
あ〜それかぁ…って、納得しないから。
田中と津田のセットは、ツッコミどころ満載で、僕の能力じゃ追いつかない。

「で、勉強はどうなの?二人は」
田中が、珍しく話を元に戻す。
「えっと僕は、多分、普通かな…入試もギリギリって感じじゃ無かったし。箱星は?」
隣に目をやると、
箱星は、僕の卵焼きに手を伸ばしながら…
「って、なんで?」
「貰っていい?」
「もう、持ってるじゃん」
素手で、掴んだ卵焼きを、自分の口に入れる仕草
「うん、これを、こうするかぁ?」
今度は、僕の口元に持ってきて
「こう、するか。あ〜ん…して」
だから、近いって!
『あ〜ん』って、
箱星に、食べさせてもらうなんて、
ムリムリ!絶対ムリ!!
僕、今、クラス中の注目を集めているよね?!
耳が熱い。
「もう!箱星が食べていいよ」
「ありがと」
ニコッと笑う笑顔がキラキラしてて…
見惚れてしまう…って、
だーかーら!ト・モ・ダ・チなのに!
なんで、卵焼き持ってるだけで、キラキラしてるんだよ!ドキドキしちゃうじゃん!
僕の心臓は、まだ箱星の存在に慣れない。
早く慣れないと、高校3年間は、心臓がもたないよ〜