おもちゃ箱に恋をした!?いえこれは断じて恋ではありません!

「温君行くよー」
放課後、教室の入口で叫ぶ先輩
僕は一瞥するが、課題に戻る。
遊は、僕の課題を見守ってくれていたが、すぐに小走りで先輩のもとへ
「山名先輩、少し待っててやってください。6限目の宿題を忘れて、居残り課題中で」
と、手を合わせた。
「箱星君」
と遊を指さす先輩
僕は、思わず立ち上がり
「先輩、人を指ささないで下さい」
先輩の遊への行動が気になって、課題に集中出来ない。
「はい、箱星遊です。いつも温がお世話になってます」
と軽くお辞儀をした。
「いやいやお世話なんてしてない…。いや、してるか」
「されてません!」
「先輩、温も、お世話は、されてても、されて無くても、どっちでもいいんですよ。ただ、2人の完璧な漫才を期待してるので」
先輩は大袈裟に後ずさりをする。
「めっちゃプレッシャーかけてくるじゃん、箱星君」
「当たり前じゃないですか、ウチの温を使って、スベる?ことなんて、あり得ないですよね」
遊も大袈裟に先輩に詰め寄る
廊下での、イケメン2人のじゃれ合い?に人だかりが出来始める
「あー面倒くさいなぁ。2人とも行くよ」
僕は、2人の背中を押して、歩き出す
あんなの、写真に撮られたら…かなりの価値がでるな。
「おい!何だよ温君」
僕は周りに誰もいないことを確認して
「2人は、その顔面の価値をまだわかって無いんです」
「どういう?」
遊が首を傾げてる
先輩は、窓際から下の中庭をのぞいている
キャー
先輩の視線に気付いた、中庭の女子達が悲鳴をあげながら、先輩に手を振っている
先輩もニコニコと振り返す
「だからーこういうこと。2人は目立ちます。その2人が重なったら、2倍どころか、3倍4倍と輝きが増して、眩しすぎるんです」
「温君、マジックの話?2人が重なって4人になる。みたいな」
「あ〜、そういうの、アメリカのテレビで観た気がします。そうなの?温」
「そうじゃありません!誰もマジックの話はしてません」
「俺もしてない」
「俺も」
先輩と遊が挙手する
「わかってますよー僕もして無いんですから!」
「じゃあ誰がしてるの?…怖」
「先輩、怖くないです。いえ、怖いです。この謎の2対1が不思議過ぎます。昨日までの、2人では考えられない」
「うん、まっ、温君が勝手に、俺ら2人を遠ざけてたからね」
先輩は遊に同意を求める
遊はいつもの穏やかな笑みで
「そう…でしたかね」
と同意した。
「だから、なんで2対1!」
「はい、もう行くぞ。部活。もういいだろ。さっきの、重なって光るっていう、宇宙の話は」
「僕は宇宙の話なんてしてません!」
「箱星君もくる?部室」
「えっ、いいんですか?」
遊は、嬉しそうに僕を見る。
断る理由なんて別にない
「いいよ」
目でありがとうと言う遊。
「ありがとうございます。山名先輩」
「って、なんで先輩にお礼言うの?」
「誘ってくれたから」
「よし!じゃあ箱星君には重要な役割、お客さん役を担ってもらおう」
「えっ、2人の漫才もう見れるんですか?」
遊が、こんなに、世渡り上手だと思わなかった。
先輩もこんなに社交的だったっけ?
2人の背中を見ながら、イケメンってなんか似てるなと思った。
堂々と生きてきた人間の背中
僕からは、ほど遠い
「温、行くよー」
遊が、小走りで戻って、手を引いてくれた。
僕はニンマリする
そう、これが遊
僕はまた、遊の特別なところを見つけた
「行こう」
待つんじゃなくて、いつも迎えにきてくれる。